【効果】腸内細菌の不思議
2022/11/10
何度もお話していても、何度でも話したくなる腸のお話(笑)。
結局、大切な重要な部分だという事です。
今回は腸内細菌について。
《細菌は大切なパートナー》
腸内フローラという言葉を最近よく耳にしますね。
これは、私たちのお腹の中にいる腸内細菌たちが、働きや性質の似た菌同士で集団をつくり生息する様子がお花畑(フローラ)のように見えることから腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれるようになったのです。
腸内には約1,000種類、1,000兆個以上、重さで何と!約1.5kg!!とも言われています。
他にも細菌は皮膚や咽喉、膣(女性)などにも存在しており、体全体の細菌の重さでは2kgになるとの事です。
しかし、この細菌たちが体の中に入り、献身的に働いてくれるおかげで、私たちは健康を維持する事ができています。
一生涯、人生をともに生きていくパートナーである腸内細菌と上手く共生することが大切なのです。
ちなみに、人間の細胞は約60兆個ですから、私たちの体の細胞の数よりも、はるかに細菌の数の方が多いという事が分かりますね。
《腸内細菌の住みか・回腸~大腸》
食べ物と一緒に体に入ってきた細菌の多くは胃の強力な酸性環境のため、大幅に減少します。
そして、十二指腸で胆汁酸にやられ、更に数が減ります。
胆汁酸は回腸で再吸収されるので、細菌は回腸から大腸にかけて急激に増殖していきます。
ちなみに小腸(回腸)はまだ酸素があるため好気性菌(酸素のある場所を好む細菌)が増殖し、酸素を消費します。
そのため、下へ進む程に酸素は減っていくので、大腸では嫌気性菌(酸素のある場所が嫌いな菌)が増殖しています。
《腸内細菌の種類》
●善玉菌…健康維持、老化防止
●悪玉菌…健康阻害、病気の引き金、老化の促進
●日和見菌…善玉菌、悪玉菌のどちらか優勢な方になびく菌
これらは分類を分かりやすくするためのものであり、科学的には正確な表現ではないそうです。
そして、善玉菌であっても腸内環境によっては、私たちに害をもたらす場合もありますし、またその逆もあります。
《腸内で“発酵”と“腐敗”が起きている!》
腸内細菌はどういった働きによって、私たちの体に影響を及ぼしているのでしょうか?
小腸で消化、吸収出来なかった食べ物の残りかすは腸内に住み着く菌が二次利用しています。
食べ物に含まれる糖質は細菌(主にビフィズス菌)に分解される事により”発酵”します。
その生成された酸で腸内が酸性に保たれ、善玉菌が暮らしやすい環境になるのです。
悪玉菌は酸性の環境を嫌うので、増殖防止にもつながります。
逆にウェルシュ菌などはタンパク質や脂質を分解する事により”腐敗”させ、アンモニアや硫化水素などの有害物質をつくります。
“腐敗”が起きると腐敗ぶが体の中に再吸収され、さまざまな病気を引き起こす原因にもなります。
さらに、悪玉菌が優勢になってしまうと、免疫力が低下し、様々な病気を引き起こしやすくなってしまいます。
このように腸内細菌は発酵(体に有用)と腐敗(体に有害)を行っています。
《我慢したおならの行方は?》
・無臭の気体(窒素、酸素、水素、メタン、炭酸ガス)
・悪臭の気体(インドール、スカトール、アンモニア、硫化水素、揮発性アミン)
この2つの気体が混同されたガスがおならの正体です。
ちなみに、不快なおならの臭いは腸内が腐敗しているサインと言われています。
さて、誰でも1度はおならを我慢した事があると思います。
そのおならはどこへ行ってしまうのでしょうか?
実は我慢したおならのほとんどは、再び体内に吸収され血液中にまで戻されます。
そして、全身を巡り、一部は尿の成分に。
残りは呼気に混じって、気づかないうちに口や鼻から排出されていきます。
《老年期になると悪玉菌が増加》
老年期になると、年とともに腸を支えていた筋肉量が低下し、腸の蠕動運動が緩慢になり、食べ物の残りかすが腸内に長く留まりやすくなる事もあり、悪玉菌増加の傾向が見られます。
また、若くても暴飲暴食や強いストレスなど腸内フローラのバランスを崩す生活をしていると、悪玉菌は優勢になってしまいます。
最近の研究では、腸内フローラの乱れが腸の蠕動運動を低下させ、慢性的な便秘の要因になっている可能性があるという報告もあります。
《日和見菌を味方につけろ!》
健康な人の腸内バランスは下記の通り。
善玉菌:約20%
悪玉菌:約10%
日和見菌:約70%
実は悪玉菌には、食物繊維の分解、ビタミンB群やビタミンKの合成、感染症の防御などの働きをしてくれる菌もいます。
つまり、善玉菌も悪玉菌も必要なのですが、悪玉菌が優位になってしまうと便秘や下痢、肌荒れ、老化、生活習慣病などを引き起こす原因になるため、少し善玉菌が多い方が良いのです。
なぜなら、数字を見れば一目瞭然!
日和見菌が最大勢力なのですから、それを味方につけなくてはいけません。
日和見菌は善玉菌、悪玉菌、どちらかの優勢な方になびく菌ですから、腸内環境の良し悪しを左右しているのは日和見菌と言えるでしょう。
《デブ菌・ヤセ菌》
近年、肥満と腸内細菌の関係が明らかにされつつあり、注目が集まっています。
腸内細菌を“門”で分類すると、大きく分けて
・バクテロイデス門
・ファーミキューテス門
・アクチノバクテリア門
・プロテオバクテリア門
の4つに分類されます。
成人の腸内細菌の多くはバクテロイデス門とファーミキューテス門に属し、この2つの門が肥満と関係しています。
バクテロイデス門は…
食べ物を分解して栄養やエネルギーに変える働きが強い細菌群なので、俗称“ヤセ菌”といわれます。
分解して、つくりだされた短鎖脂肪酸は脂肪細胞に働きかけ、余分な脂肪の蓄積を抑え、筋肉に作用し脂肪を燃やす働きがあります。
ファーミキューテス門は…
消化されたものを体内に溜め込んでしまう細菌群なので、俗称“デブ菌”といわれます。
必要のない分まで吸収し、脂肪として蓄えようとする事を促しています。
デブ菌が多く活性化すると肥満になる傾向があるといわれています。
また腸内環境のバランスにおいて、善玉菌が優位な状況であれば太らないことがあります。
デブ菌であるファーミキューテス門は、日和見菌の一種なので善玉菌が優位な環境では本来の働きを発揮できないのです。
つまり、善玉菌が優位になる状態をキープする食事や生活習慣を実行するのが大切になります。
また、健康や美容のためにダイエットを考えているのであれば、ヤセ菌を活性化させることがポイントです。
《ヤセ菌が減少する悪習慣》
ずばり!生活習慣や食生活の乱れやストレスです。
とくにデブ菌の影響を受けやすい年代は、仕事に子育てに忙しい30代です。
生活が乱れやすいため、自律神経の乱れにつながることもあり、それによって腸内環境が崩れるリスクも高いといわれています。
デブ菌に左右されず太りにくい体質を手に入れるには、善玉菌を増やしヤセ菌を優位にさせる方法を知る必要があります。
また、ヤセ菌が減少するような悪習慣を避けることが大切です。
食生活や日常生活で気づかないうちに行っていることはないでしょうか。
いくつかあげてみたので、チェックしてみて下さい。
1. 食べてすぐ横になる
2. 就寝前・夕食にボリュームのあるものを食べる
3. パソコンやスマホを使う時間が長い
4. 寝不足が続いている
腸内環境に関係ないように思えるこれら食生活や生活習慣が、実は善玉菌の減少に関係しています。
《ヤセ菌を活性化させるには…》
ヤセ菌を活性化させるポイントは、繊維質の多い野菜や低糖質、低脂肪の食品を選ぶことです。
また、短鎖脂肪酸をつくり出すために必要なビフィズス菌も積極的に取り入れるとよいでしょう。
●水溶性食物繊維
ごぼう
オクラ
キャベツ
もち麦
納豆
アボカド
きのこ類
海草類
豆類
●発酵食品
ヨーグルト
みそ
酢
上記の食品を毎日少しずつでも、食事に取り入れましょう。
朝やおやつにヨーグルトを取る、海藻を入れた味噌汁を飲むなど毎日の習慣を変えていくことで無理なく続けることができるでしょう。
腸内バランスは年齢によって変化し、老年期に入るとビフィズス菌が減ります。
すると悪玉菌が優位になりやすく、便秘のリスクも高まります。
そのため年齢に合わせ食事内容を考える必要があります。
《腸でつくるスーパーイソフラボン》
女性ホルモンは女性の美しさを引き出す美容液のような存在です。
しかし、40代頃から低下していきます。
女性ホルモンを増やすためには、女性ホルモンと似た働きをする成分や女性ホルモンの分泌を促す食材を摂取する必要があります。
代表的な食べ物に大豆があり、意識的にとっている女性も少なくないかもしれません。
しかし、実はイソフラボンの恩恵を受けるには、イソフラボンを“エクオール”という成分に変換する“エクオール生産菌”を持っていないといけないのです。
エクオールをつくれる腸内環境になるためには、普段から大豆製品の摂取や、腸内環境の正常化が必要です。
エクオールはスーパーイソフラボンとも呼ばれ、肌のハリを保つコラーゲンを増加させ、シワの改善や顔のほてり、骨密度の低下といった更年期症状の緩和などの働きをしてくれます。
《まとめ》
とにもかくにも、健康のため、美容のためには善玉菌優位にさせる習慣が大切だという事です。
食生活の見直し
生活習慣の見直し
何か気になる事があった時は1度、ご自身の食べてる物を書き出してみたりするのも良いかもしれません。
はっと、気づくものがあるかもしれませんよ。
また次回は腸活のお話をしていきたいと思います。
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